格差と分断の社会地図の感想
格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉という本が新たな気付きが多かったので感想のこします。
概要
日本の格差や分断を7つ(所得格差・職業格差・男女格差・家庭格差・国籍格差・福祉格差・世代格差)挙げ、それらが生じる背景と現状を紹介している。
その上で、このまま進むとどうなるのか、解消できそうな兆しや取り組みを紹介している。
以下では私が印象に残ったことをそれぞれの格差に対してメモしておく。
所得格差・職業格差・男女格差・家庭格差・国籍格差・福祉格差・世代格差
所得格差
所得格差の背景に、教育格差と貧困の連鎖がある。
全国平均では子供7人の打ち1人が貧困とされるが、沖縄では3人に1人が貧困
印象深い例として、那覇尚学院という予備校の例が挙げられていた。
元々は裕福な家の子が通う事が多かったのだが、県の支援で低所得の家庭の子供が無償で通えるようになった。
裕福な家の子は、低所得の家庭の子供が将来や家族のために頑張る姿を見て、感化され、
低所得の家庭の子供も、裕福な家の子も毎日夜遅くまで頑張っていると知り、感化される。
社会の階層をまたいだ多様な出会いの場をどれだけ作っていけるかが重要と著者は述べているが、そのとおりだと思った。
職業格差
”格差の下位に位置づけられる職業であればあるほど、そこで働く人々にのしかかる精神的な負担は大きくなる。”
興味深い問題提起として、コンビニの店員さんの話があった。
「コンビニを利用する人は、トイレを好きに使ったり、駐車場に長居したり、店員さんにクレームをつける人が多いが、
その行為を銀行や裁判所(格差の上位に位置づけられる)でも、やれるのか?」
というものだ。自分でも気づかないうちに、便利に使ってしまっていた気がした。
”依存症は、社会的に成功している人より、そうじゃない人のほうがなりやすいとされている”
ギャンブル・タバコ・個人向け融資、弱い立場の人からお金を吸い上げるビジネスがある。
しかもその市場は結構でかい。
”すべての職業はつながっている”
介護のきつい職場の一つだが、今は現場の努力で一定水準を保っている。
しかしそれが崩壊した時に、自分や身内がサービスが低下した介護を受けることになる。
確かに。
テクノロジーの進展により、リアルの世界で人の仕事は標準化され、機械よりも人のほうがコストが安いという理由で機械の仕事を人が行う。
ゆえに人の関わり、痕跡、つながりを感じにくい。
AIに仕事が取られ、残るのは芸術だ、という話もあるが、人とのつながりが私としては残ってほしい。
男女格差
セクハラ→マタハラ→マリハラと女性の社会進出が増えるほど、ハラスメントの問題が増える。
それは男性たちの女性を軽んじる考えや男性中心の社会構造が潜在的に残っていることを示している、と著者は述べている。
否めない。
ただ在宅勤務が98%の自分からするともはや性別はよく分からない。何か糸口がありそうな予感。
家庭格差
”少年院の法務教官の話によれば、子供は劣悪な家庭環境で生まれ育つと、成長してから問題行動を起こすリスクが高まるという”
親からの暴力→そのストレスを他人にぶつける→孤立化
国籍格差
- 移民の歴史
- バブル期まで
- イラン人男性の不法就労の増加←イランでの内政不安+日本で建築公共ラッシュの人手不足
- フィリピン人女性の増加←フィリピンでの政情不安
- バブル崩壊後、土木系の仕事はなくなり、イラン人移民が影響を受ける。彼らはビザを持たず、人手不足を背景に大目に見られていた不法就労も取り締まられるようになり、締め出された。
- バブル崩壊後
- ブラジルやペルーの移民が増えた。日系四世まで入国を認めたため(人手不足を背景に)。
- 彼らは他の移民と異なり家族を連れてきた。
- しかし、日本の学校は外国人の子供を受け入れる準備はしていなかったため、はじき出された子供も居た。
- 外国人は義務教育の対象外なので、小学校や中学校を簡単に中退できてしまう。彼らが、ギャングとなってしまうことがある。
- バブル期まで
知らなかった。
福祉格差
”身体障害児の場合は虐待を受ける可能性が健常者と比べて4.3倍高く、知的障害児の場合は13.3倍も高い。”
虐待が脳の成長を遅らせ、機能低下をもたらす。
そして”虐待を受けた障害者の3,4人に1人に何かしらの行動障害が出る”。
子供のときは手のかかかる子供とされるが、成長するにつれ暴力や破壊といった行動がエスカレートし、不良としてみなされるようになり、
家庭や教育という枠組みから外されてしまう。
負のスパイラル。
世代格差
”格差を作る、困窮する人を放置するということは、巡りに巡って富める人が狙われる社会を生み出すことになる”
自分だけ良ければ良いんだ。
では済まされない。
自分だけで生きてはいけないから。
まとめ
大切なのは、お互いが相手のことを知り、いい影響を与え合うことだ。
この本で印象に特に残った部分はここ。
類は友を呼ぶのか知らないが、多様な人達をいつの間にか見なくなった。
私は在宅勤務のヒッキーなので外に出で様々な人と関わらないとなーと思う。
ITの力で何か役に立てることはあると思う。
”大半の社会問題は根っこのところで格差というものでつながっている”
noblesse oblige.