結局5Gとローカル5GとWi-Fi6をどう使い分ければ良いのさ、という話。
- 2022.03.26
- IT
仕事でローカル5Gとパブリック5G、Wifi6で何が違うのか、というのを以前に調べたのでまとめます。
結論
コストは高くてもいいから、超低遅延で超高速なワイヤレスネットワークを作りたい!というときにローカル5Gを使う。
アップロードも速い、というのがDocomoやSofbankなど提供のパブリック5Gとの差別化ポイント。
赤字が利点、青字がデメリットです。下部にまとめた表を載せています。
- パブリック5G(Docomoなどキャリア提供の5Gです)
- モバイルキャリアの電波なので費用を抑えられる
- 周囲の個人や企業の利用の影響を受ける
- 災害やイベントなどで利用ユーザが急増すると通信品質に問題がでる。
- QoS:ダウンロードが中心のネットワーク設計(アップリンク(アップロード)が爆速というわけではない)
- 一般ユーザはYoutube視聴などダウンロード中心の利用なので、アップロードはそれほど速くない。
- SIMカード盗難時不正利用できる
- ローカル5G
- 自社の用途に合わせて最適化でき、高速大容量・低遅延通信を安定的にできる
- QoSアップリンク(アップロード)とダウンリンク(ダウンロード)の比率をカスタマイズできる。
- カメラの映像をリアルタイムでアップロードして、解析したりとか。
- SIMカード盗難時不正利用できる
- 送受信は集中管理
- 初期コスト・ランニングコストが高い
- Wi-Fi
- 免許不要・価格も安価
- 免許がない周波数バンドを使うため、他のWi-Fi機器などの干渉による品質低下のリスクがある。
- パスワードが漏洩するとアクセスされる。
- ベストエフォートなので、パケットは即座に送信される→他の機器と重複すると待ち時間が出る。
表で比較してみた
ローカル5G | パブリック5G | Wi-Fi6(802.11ax) | ||
周波数帯 | 4.7GHz帯/28GHz帯 | 3.7GHz帯/4.5GHz帯/28GHz帯 | 2.4GHz帯/5GHz帯 | |
通信品質 | 通信速度 | ~10Gbps
(将来的には20Gbps) |
~10Gbps
(将来的には20Gbps) |
~9.6Gbps |
遅延 | <1ms以下 | <1ms以下 | 保証できない | |
QoS制御 | 設定可能
上りを速くすることも可能 |
設定不可
下りが速い設定 |
優先制御のみ | |
システム規模 | エリアサイズ | ~数百m | 基地局の位置による。
既存4Gも使える |
〜100m |
接続端末数 | 装置により異なる | 基地局に依存 | 装置により異なる | |
通信セキュリティ | 認証 | SIMカードによる認証 | SIMカードによる認証 | EAP-AKA/EAP-TTLSなど
WPA3-PSKなど |
暗号化 | 専用の暗号化方式 | 不明 | WPA3-PSK/AES
Enhanced Open |
|
初期コスト | 装置コスト | 機器が超高価 | 安い。世界的に普及している | 安い。世界的に普及している |
構築コスト | 電波免許が必要 | 基地局に依存 | 既存のネットワークで構築可能 | |
ランニングコスト | 保守コスト | Wifiに比べると著しく高価 | 端末の管理と通信契約次第 | 既存のネットワーク機器と同様の保守コスト |
端末管理 | SIMカードの管理が大変 | SIMカードの管理が大変 | サーバーへ登録するのみ | |
その他 | コストダウンが最重要課題 |
まとめ
コストは高くてもいいから、超低遅延で超高速なワイヤレスネットワークを作りたい!というときにローカル5Gを使う、という点でしょうか。
高精細な動画や、機器の制御など。
ちなみに、有線LANでも良いのであれば、これが一番速くて安くて干渉もないのですけどね。
参考文献
-
プライベートワイヤレスネットワーク入門
- Wifiを中心に事例やデータが豊富。ローカル5Gは全体の1/3ほど。
- ビジネスで資料作成するなら間違えなくこの本
-
いちばんやさしい5Gの教本
- 5Gの技術やユースケースが全体的に載っているが少々読みにくいか。
-
図解まるわかり 5Gのしくみ
- 5Gに至るまでの技術的経緯などが例えで載っているのでわかりやすい。
- 最初の1冊には良いが、定量的データはあまりないので、概要を掴む程度には良いかと。